さりげなくエコ イギリス家庭での取り組み

打ち水の夏、日本の夏、ということで環境系の話題。ただしこちらはイギリスのお話。

Trying to Build a Greener Britain, Home by Home ,The New York Times July 20, 2008
When Jeffrey Marchant and his wife, Brenda, power up their computer, turn on a light or put the kettle on to boil, they can just about watch their electric bill rise.A small box hanging on the wall across from the vase of flowers in the front hall of their tidy Victorian*1 home displays a continuous digital readout of their electricity use and tells them immediately how much it will cost, helping them save energy.

もっと環境に優しいイギリスに 家庭での取り組み
ジェフリー=マーシャンと夫人ブレンダさんは、コンピュータの電源を入れたり電気をつけたりヤカンを火にかけたりすると、すぐにそれらの消費電力がお幾らなのか見ることができる。ヴィクトリア調の居心地のいい家、その大広間、花瓶の花々のちょうど向かいの壁にかかった小さい箱。これが彼らの消費電力を常にデジタル表示しており、即座に料金が分かるようになっていて、エネルギー節約に貢献している。
自分達が今どれくらい電力を消費しているのかが常に表示され、環境に対する意識を日々喚起してくれる。資源節約もできるし、もちろん家計にも優しい。

Turn on a computer and the device — a type of so-called smart meter — goes from 300 watts to 400 watts. Turn off a light and it goes from 299 to 215. At 500, the meter is set to sound an alarm.“I’ve become like one of Pavlov’s dogs*2,” Mrs. Marchant said. “Every time it bleeps I think I’m going to take one of those pans off the stove. I’d do anything to make it stop. It helps you change your habits.”

コンピュータと周辺機器の電源を入れると、「スマートメーター」の表示は300ワットから400ワットへと上昇する。電気を消すと299から215に下がる。500になると、メーターは警告音を発する。「パブロフの犬状態だね」マーシャンさんは言う。「これが鳴り出すたびにコンロから鍋を取り去らなきゃ、って思ったりね。鳴り止ますためにはなんだってするさ。生活習慣が変わるよ」
便利な箱の名前はスマートメーター。あらかじめ設定した値に電力が達するとアラームが鳴る。ここまでくるとメーターに支配されてる感じだが、従っている本人も至って楽しそうだ。目標を決めてそれを遵守することで満足感が得られるし、環境面でもお金の面でも良いこと尽くし。ただこれだとクーラーで涼みながらパソコンとかアラーム鳴りまくりだなぁ…。

Two years ago, when Mr. Kaufmann applied to put a solar panel on his Victorian roof, Brighton officials said no. “They said it had to look like a red tile, which of course wouldn’t work,” he said. “They didn’t think about energy, just architectural conservation*3.” The council eventually relented*4.

2年前、カフマン氏が自身のヴィクトリア調の屋根にソーラーパネルを取り付けることを申請すると、ブライトンの役人は難色を示した。「赤いタイル調に見えないといけないと言うんだ、もちろんそれじゃ機能しない」と彼は言う。「資源について考えず、景観保存だけが頭にあったんだね」役所はその後この件に関して寛容になった。
ヨーロッパでは特に街並みの保存というのが重要な意味をもっていて、屋根にべたべたパネルを貼ったりするのはご法度の模様。コテコテのエコハウスなんてもってのほか?歴史ある街だと特にそうなのだろう。だからこそスマートメーターのような人々の意識を改善するソフトが重要になってくる。日本でも下町で建築規制があったりする場所では有効なんじゃないだろうか。

The British government will require that all medium and large businesses install smart meters within five years and will decide this year whether to mandate*5 them for private homes as well.

イギリス政府はすべての中小、大企業がスマートメーターを5年以内に導入することを義務付ける予定で、家庭にも導入を課すかどうかを今年中に決定する。
イギリス政府一押しの一品。ただこういうのは自主的にやるから面白いのであって義務にされるとどうかな、って感じはあります。家庭で少しずつ意識改革。見習うべきところが多々。

*1:Victorian ヴィクトリア女王統治時代の19世紀後半のイギリス その周辺の時代の文化

*2:Pavlov's dogs ロシアの生理学者パブロフによる研究、パブロフの犬 条件反射的に反応してしまう、という意味合い

*3:conservation 保存、保護

*4:relent 態度を和らげる、軟化する

*5:mandate 命令、委任