医者→プロブロガー アドセンスの未来は明るいか? Macrumors.comの場合

ブログを書いてる人なら誰でも一度は惹かれる「アドセンス」。Webサイトに広告を掲載、クリック数で収益をあげる。
そのアドセンスにまつわる羨ましいお話。

My Son, the Blogger: An M.D. Trades Medicine for Apple Rumors,The New york Times
For eight years, Arnold Kim has been trading gossip, rumor*1 and facts about Apple, the notoriously*2 secretive*3 computer company, on his Web site, MacRumors.com.
It had been a hobby — albeit a time-consuming one — while Dr. Kim earned his medical degree. He kept at it as he completed his medical training and began diagnosing*4 patients’ kidney*5 problems. Dr. Kim’s Web site now attracts more than 4.4 million people and 40 million page views a month, according to Quantcast, making it one of the most popular technology Web sites.
It is enough to make Dr. Kim hang up his stethoscope*6. This month he stopped practicing medicine and started blogging full time.

息子はブロガー 医学よりもアップル社の噂をとった医師
8年に渡りアーノルド=キム氏は自身のウェブサイト、Macrumors.comでアップルにまつわるゴシップ、噂、そして事実を交換し続けてきた。アップルといえば、秘密主義なことで悪名高いコンピューター企業である。
初めはただの趣味だった、医学の学位をとるまでの一時の面白いアルバイト。医学を修めて患者の腎臓の病気に取り組み始めてもなお、彼は趣味を続けた。キム氏のウェブサイトは現在、Quantcast調べでは1ヶ月の総アクセス数440万人、ページビュー4000万件を集め、最も有名な技術系ウェブサイトの一つとなっている。
キム氏に聴診器を下ろさせるのには十分なのである。今月彼は医師として働くのをやめフルタイムでブログを書き始めた。
超有名サイト、Macrumors.com。その管理人であり主著者のキムさんがついに、医師をやめプロブロガーとして生きていくことを決めたという記事。
Macrumors.comはアップル社製品にまつわる様々な情報、憶測が飛び交うサイトで、投稿された記事にはコメントとは別に「positive」「negative」(支持、不支持)の評価がつけられるようになっている。私もそう思う!いや、それはちょっと違うんじゃないの?といった評価を皆でわいわいできるのが売り。他にもアップル社製品の使い心地を読者から集めたりと価格ドットコム的要素もあり、普通にアップルにまつわるニュースもありと、内容満載なサイト。

A question Dr. Kim often fields from friends and associates*7 is, “How does that make money?” He answered the question in an entry on his personal blog last month. It can all be “boiled down to one simple accomplishment*8: building traffic*9,” he wrote. “That’s it. If you have a site that attracts a lot of visitors, you will be able to make money. On the Internet, traffic equals power, which subsequently equals money.”

キム氏がよく友達や同僚に聞かれる質問は「それがどうしてお金になるの?」というもの。彼は先月その問いに対して個人ブログのエントリーで応えた。「突き詰めると一つの単純な事柄の達成、ということになる:人々の往来を増やすことだ」と彼は書いた。「それが全て。多くの訪問者を集めるサイトを持っていれば、お金を稼ぐことができる。インターネットの世界では、往来量=力、そして結果的にそれがお金を稼ぐことにつながる。
サイトの訪問者数=力、そして絶大な力を手に入れたキム氏。

Dr. Kim is not a millionaire blogger yet, and given the slumping online advertising market, he faces some hurdles as he expands the site. But he has reason to be optimistic*10.
Stepping away from medicine felt somewhat strange, he admits. Dr. Kim was bringing home a six-figure*11 income*12 as a doctor, but he recognized that blogging was becoming more lucrative*13. He says the site also yields a six-figure income for him.

キム氏はまだ億万長者ブロガーではなく、停滞するオンライン広告市場を突きつけられて、彼もまたサイトを拡大するに当たっていくつかの壁に直面している。しかし彼には楽観的でいられる理由がある。
医師の仕事から退くのは妙な気分だった、と彼は認める。キム氏は医者として6桁の収入をもらっていたが、ブログのほうがもっと儲かりつつあることに気付いたのだ。サイトもまた6桁の収入を彼にもたらしていると彼は語る。
ドルで6桁ということは日本円で1000万円以上。医師の収入としてなら納得なのだがサイトの収益でこれだけ、というのは驚異的。サイト広告でこれだけの収益をあげる個人なんて世界でも数えるくらいしかいないんじゃないのか?医師をやめる決意をさせるだけの広告収入、きっと医師としての年収を上回ってしまったのだろう。

…He also had a practical*14 reason for wanting the ability to work from home. Her name is Penelope, and she is 14 months old.When he told his father, also a doctor, about the decision, Dr. Kim was pleased that “he was very supportive of it, which was sort of surprising to me.”

在宅にて働きたい現実的な理由もあったのだ。彼女の名前はペネロピで、14ヶ月になった。医師である父にこのことを話した際、彼は嬉しかったという、「彼は大変協力的でした、私にとっては少し驚きだったのですが」
在宅で働くことは、可愛い娘のためにもなる。医師である父からは反発されることを予想していたが、意外にも理解があり承諾してくれた。お金から離れた人情話?でも十分な収益があるからこその、周囲の肯定的反応。

Dr. Kim is branching out beyond MacRumors. He helps run a spinoff*15 Web site, Touch Arcade, that tracks the new games available for the iPhone and iPod Touch. But he is remaining coy*16 about his other expansion plans. Apple, it seems, is not the only company trying to keep secrets.

キム氏はMacrumorsからさらに活動を広げ始めている。スピンオフサイトである「タッチアーケード」の運営を手助けしたり。こちらはIPhoneIPod Touchの新しいゲームについてのサイト。しかし彼は他の活動拡大のプランについてあまり話したがらない。秘密ごとの多い企業はアップル社だけではないとみえる。
儲けられるところはどんどん儲ける。アップル社に留まらず企業ゴシップを扱った姉妹サイトを増やしていくつもりなのか?なるほど、これならアップル社がいつ倒産しても大丈夫だ。キム氏のキャパシティは底知れない。
キムさんが成功した理由について考えてみた。
英語サイトということで読者が全世界にいる。日本人向けサイトだと上限が1億人だが英語なら60億。アップル製品の情報を扱い、広告ももちろんアップル社製品、読者は製品の噂を読んで購入の決断をするだろうから、キムさんのサイトから購入ページに飛ぶ確率が非常に高い。またアップルには信者と呼ばれる熱狂的ファンが多く、彼らがそのままブログの常連となってキムさんを支えてきたのだろう。噂・ゴシップを扱うということで信者だけでなくアンチも取り込める仕組みになっており、どちらでもないただの噂好きも含めると読者の幅はかなり広がる。
これらの要素と8年間の努力が相まって今回の転職に繋がった、と。医師→プロブロガーとか、次あたりに勇者にでもなりそうな感じ。常識ではありえないジョブチェンジ
お金が集まるところに集まって、大多数はまったく稼げていないというのがアドセンスの現状だろう。キムさんのとこは現在大繁盛だが、1年後はどうなるかわからない。そんな世界に身を投じた決断は英断と言わざるをえない。願わくばプロブロガーとしての道を貫きとおして欲しいものだ。

*1:rumor 噂話

*2:notoriously 悪名高い、この場合やや茶化して?

*3:secretive 秘密主義の

*4:diagnose 診察する、原因究明する

*5:kidney 腎臓

*6:stethoscope 聴診器、ここでは医師の象徴として登場

*7:associates 同僚

*8:accomplishment 達成、成就

*9:traffic 直訳だと交通量、この場合web trafficなのでサイトの往来量

*10:optimistic 楽観的な

*11:six-figure 6桁の、figure=数字、桁

*12:income 収入

*13:lucrative 儲かる

*14:practical 現実的な

*15:spinoff 派生、副次的な 脇役が活躍するスピンオフドラマ、のスピンオフ。

*16:coy 口が重い、隠し事をしている